2月に読んだ本(続き)


影武者徳川家康(中) (新潮文庫)

影武者徳川家康(中) (新潮文庫)

影武者徳川家康(下) (新潮文庫)

影武者徳川家康(下) (新潮文庫)


とうとう、読み終わってしまった。
ああ、これで隆慶一郎の代表作は大方読了。


この「影武者 徳川家康」は、中巻まで怒涛の勢いが続き、下巻でやや失速気味なものの、
ラストの晴れやかなシーンを味わうことができるのは至福の喜びでしょう。
傑作、と口で言うのは簡単だが、それでも傑作だ。
史実を大胆に再解釈して、関が原以後の家康が、実は影武者だった方が「つじつまが合う」としてみせる、隆ワールドの真骨頂である。
フィクションとノンフィクションの狭間で、世良田二郎三郎(家康の影武者)はたくましく、そしてしぶとく生き抜いて見せるのだった。
脇を固める、島左近、甲斐の六郎、お梶の方、風魔の小太郎、風斎、本多弥八郎、そして、秀忠、柳生宗矩らの宿敵ですら、二郎三郎をひときわ輝かせる役として必要不可欠。


下巻は、姉妹篇ともいえそうな捨て童子・松平忠輝」(全3巻)とかなり被っており、こちらも必読である。逆に、読んでないと「ああ、これはこういうことか」というのが実感できないだろう。


ちなみに、隆慶一郎で好きな作品は、「鬼麿斬人剣」「一無庵風流記」「影武者 徳川家康」「捨て童子・松平忠輝」「死ぬことと見つけたり」などとあげられるけど、
一つと言われたら、未完であるものの死ぬことと見つけたりかな。




神狩り (ハヤカワ文庫 JA (88))

神狩り (ハヤカワ文庫 JA (88))

1975年に出版された山田正紀の処女長篇。
来月、30年ぶりにその続編「神狩り2 リッパー」が、徳間書店から出版されるそうなので、積ん読中だったハヤカワ文庫版を読んでみた。
この作者は、そもそも初めから、人類の英知をはるかに超える存在、超越者、絶対者、すなわち「神」をテーマにしていたんだなあ、と感嘆。
この本では、結局、神そのものというよりは、神という概念に関わる人々の苦悩と無力さを描いていて、間接的に神を扱っている。そして、それが成功していると思う。


以前に、傑作の誉れ高い「エイダ」を読んだのだが、僕にはあまりピンとこなくてずっと敬遠していた。もう何冊か読んでみてもいいかも知れないな。