読んだ本

コフィン・ダンサー

コフィン・ダンサー


そうだった、この作者は「どんでん返し」の達人だった。
前作『ボーンコレクター』みたいに、四肢麻痺患者のリンカーン・ライムが、
一対一の状況で敵に噛み付く
というスリルこそ無かったものの、
暗殺マシーンのような敵から証人を護りぬく今回の話も意外性の連続だった。
これ以上巻を重ねると陳腐になっていきそうで心配だが、ここまではとても面白い。




初期の頃の(といっても3年ほど前の)トカジのぶっ飛び加減と、バランスの良さが僕は好きなのだが、
時期的にはその頃のこの本も、すでに「安い犯罪小説」として完成されている。
完成してはいるのだけれど、面白いのとつまらないのを交互に書いてるんじゃないのか?という疑念が。
ということで、あんまし面白くなかったのです。



タフの方舟1 禍つ星 ハヤカワ文庫SF

タフの方舟1 禍つ星 ハヤカワ文庫SF


どっちかっていうとファンタジーで有名な作家ということくらいしか知らないが、
読んでみて早速他の本も読みたくなってしまった。


話は、宇宙船を舞台に繰り広げられる駆け引きと猫の話。


1000年も昔に失われた科学力を駆使して作られた胚種船は、オールド・アース(つまり地球)とともにすでに一船も存在していないはずであった。
ひょんなことから手に入れた、一商人「ハヴィランド・タフ」はそれを駆って星々を巡り、それぞれが抱える問題を胚種船の持てる力で解決していくのだった。

憎たらしい主人公である。
独自の美学と、猫に対する愛情は、裏を返せばかなり偏った考えの変人であり、猫の溺愛を他人に強要するのもイタイ人に違いない。
なのに、愉快ツーカイ怪物くん
全2巻で、先月、今月と続けて刊行されるので楽しみだ。



失踪日記

失踪日記


これは、SF漫画家の作者の実体験である。
ホームレスしてたり、日雇い労働者してたりの記録が、こうまで客観的に見つめ直せるのは、本物の作家の資質なのでしょう。
中島らも花輪和一もそういった系統かな。


深刻になる話も面白く書いている姿勢が好きだ。
出たばかりなので本屋で平積みされています。
漫画ですから読みやすいしおすすめ。