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ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)

ハイドゥナン (上) (ハヤカワSFシリーズ・コレクション)


上とは逆に、400ページまで読んでる限りでは、今年の国内ベストSFで暫定1位をあげてもいい。
やはり藤崎慎吾は只者ではない。


まず、タイトルに驚かされる。
一年以上も前に発表されていたタイトルだけど、『ハイドゥナン』なんて言葉はてっきりどこかの外国語だと思っていた。
まあ、確かに外国語ではあったが、それは琉球の方言で伝説の島「南与那国島を指すとは。
いいセンスしてる。


そして、視覚などの一知覚から音や触感を得る共感覚」という事例や、ハイテク機器を用いて石などの無機質から記憶を取り出す技術。
一方では「神」の啓示を自然に受け取る少女、はたまた他の惑星で生命を育もうという壮大なプロジェクトなど。


一見かけ離れているようなそれぞれの立場が、すべて収斂していく過程が楽しすぎる。
作者は、プロットに凝るだけでなく文章も綺麗で優しい。


けして多作な人ではなく、どちらかというと寡作なタイプだけど最も期待できる国内のSF作家だ。
下巻を読んでないのにべた褒めしちゃったけど、期待して臨むことにする。