10月の書評
フリッパー掲示板から転載(10/28分)
もう終盤が目頭熱くなりっぱなし。読んでて嬉しい、幸せ。終わってほしくない。
直江兼続との交流。捨丸や「骨」たち忍びとの信頼関係、命のやり取り。
どれをとっても素晴らしい。
戦国時代、「傾奇者-かぶきもの」(または「バサラ」)と呼ばれた前田慶次郎の一生は、
原哲夫の漫画「花の慶次」で読んだ人も多いだろうが、さすがは隆慶一郎。
数々のテレビドラマを手がけたシナリオライターだけあって、読んでいる情景が
苦も無く眼前に浮かんでくるところなぞ、まさに真骨頂。
60歳を過ぎてから時代小説を書き出して、わずか数年で他界するまでに
書き残したそのどれもが、光り輝いている。
「吉原御免状」「鬼麿斬人剣」と読んできたが、次あたりは「死ぬことと見つけたり」を
読んでみようと思います。
ちなみに「花の慶次」は読んだことが無いので、今、徳間書店から刊行中の完全版でも
買ってみようかな。
- 作者: 小木曽絢子,ロイス・マクマスタービジョルド
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1991/01/31
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ビジョルド女史の紡ぐこの物語は、不具者の主人公マイルズを軸とする
壮大なスペースオペラである。仕官の道を絶たれたマイルズは、口先ひとつで
傭兵の艦隊を作り上げ、やがて巨大な組織を統率していく。
渦巻く陰謀と駆け引き、知恵とタイミングで、大ぼら吹き主人公が危機また危機を
乗り越えていき・・・。
っていうとまじめだが、この話のいいところは、ほんとはすごく馬鹿馬鹿しい点にある。
宇宙が舞台なのに、宮廷華族のメロドラマみたいな。へたすりゃお茶の間の繰り広げられそうな雰囲気すらある。
かの国では10作以上も続く人気シリーズである。まあ、もう少し続きを読んでみてもいいかな。
エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))
オースン・スコット・カード(ハヤカワ文庫SF)
やっぱり、誰もがお薦めとして挙げる有名な本には理由があるもんです。
前に、スコットカードの「消えた少年たち」を読んで、恐ろしく人間を細かく書く人だなあと思いましたが、それは「エンダーのゲーム」でも同じ。
ただし「消えた少年たち」の読後感最悪(でも感動はする)なのに比べると、
胸のすくようなヒロイックファンタジーだ。
追い詰められていく主人公、わずか6歳のエンダー少年。
徹底的に戦士として訓練されていき、12歳にして指揮官になった彼は・・・。
間違いなく傑作なのだが、残念ながら邦訳はがっかりするほどへたくそで読みづらい。
どのサイトでもそのことが取り上げられていて、願わくは別の人の訳で読めたらいいのに
と思う。続きの「死者の代弁者」も買ってあるので、早速読んでみよう。
今読んでる本
「復活の地〈3〉 (ハヤカワ文庫JA)」小川一水(ハヤカワ文庫JA)
とうとうこの巻でラスト。
拡げに拡げた大風呂敷をどうやって収拾するのか見ものである。
もしくは、続編でも予定してるのか?
最近読んだ漫画
男性が描いた「いくえみ綾」かと思いましたよ。つまり、褒め言葉です。
モロ、性絡みで生々しいんだけど、やるせない想いが、逆にすがすがしい。
青春というのを誰も口にしなくなった今の、青春漫画だと思います。
ちなみに「いくえみ綾」は、もう何を描いても、どんな題材でも、読ませることのできる
漫画家に転生致しました。これは凄いことです。
最近観た映画
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2002/02/22
- メディア: DVD
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その昔、吉実やら三浦がなんか言ってたなあと思ったので、観てみた。
若いダースベーダーこと、ユアン・マクレガーの出世作であるこの作品。
現代UKのどうしようもない若者の、どうしようもない日々を追ったゴミ溜めの様な映画。
つまり、褒め言葉です。
いや、マジで。
なるほど、観るべき映画の一つでした。
話のすべてがドラッグのみで展開していくというのが、安易といっちゃあ安易。
だけどもそれだけの世界に埋没して、しまいには消え去っていくような、
「人間生きて死ぬ」を自力で早めて加速させるような感じが不自然で面白い。
まるで宇宙が前触れもなくビッグバンで広がって、ビッグクランチで閉じてゆくような。(多少大げさ)
5,6年前、やっぱりUKのバンド「suede」
が、その名も「trash」というタイトルを歌ってたけど歌詞の中身は
「どうせ俺らなんか、ただのゴミだー」みたいな歌だからなあ。
ゴミであることに気がついちゃった人が多いお国柄なんでしょうか。
それでも、ラストがなんだかハッピーエンドでくすぐったい気がする。
仲間のダチ公は、ちょっと頭がトロいぐらいが具合がいいもんです。
ねえ、トロ松トロ由くん。(二人分入ってお得です)