12月の読書記録

これに載ってんるんだよ。

右の雑誌が例の掲載誌です。
男性は購入しにくいですが、しったこっちゃありません。
読むと吉。



神なき国の神々

神なき国の神々


読書系のブログページは数多い。
本を読む時間が少ない僕は、なるたけ「ヒット」に出会うための
精度を上げるのに、自分に的確な水先案内人を抱えている。(つもり)
そのためには、読書する時間以上に発掘を怠らないつもりだ。


自分の趣味に非常に近い、いわゆるツボのようなものを刺激してくれる方が
この本を紹介していた。
僕には聞いたこともない作家だが、信用しているので
2000円近くしようが買ってしまう。


この本は、中世日本を題材にした6編からなる短篇集なのだが、
冒頭の「武智麻呂の虫」は、まあまあ面白いとしても、
次の「与一」が、僕にはあまり面白くない。
紹介者の
「魂が抜ける、傑作、すごい傑作」
という言葉に購入を決意したのに・・・・。
他の四編を読むのをためらいそうになるくらいだったが、続きを読む。


「魂が抜ける、傑作、すごい傑作」(by 俺)


「敢えて銘を刻まず」 「勘弁ならねえ」 「狐落とし」


この三編が素晴らしい。特に「狐落とし」が凄い。
これは舞台を中世に置いた推理小説なのだが、「狐が憑く」という現象を
当時の科学者とも言える山伏が丁寧に解いていく。
圧倒的な論理的思考のもとに事件の真相に迫る様は、痛快そのもので
これは続きモノにしてもいいくらい世界が出来ている。
というか、どの作品も小粒ながらに世界の構築加減が巧みなのである。
まるで中世の世界を見てきたような書き方がこの作者の魅力なのだろう。
お薦めされた方の観ているものを感じとれはしなかったが、
結果的にいい読み物でとても嬉しい。




戸梶圭太は、読みやすい。
ほんと読みやすいので、行きと帰りの電車の二日で読んでしまった。
定番のクライム(犯罪)小説。
毎度おなじみ「安い」人間がオンパレードしていて、痛い話が目白押し。


四人で襲った現金輸送車の現金を、仲間の一人が裏切って持ち逃げ。
そこから始まるドタバタ劇。


「なぎらツイスター」 「牛乳アンタッチャブル」 「闇の楽園」
が俺はイチオシだが、この「クールトラッシュ」も暇つぶしにはもってこいだと思います。
けしてなにかが心に重く残る話ではありませんが、残る話ばっかり求める人は
異常者じゃないかと俺なんかは思うのであり、面白い本を読みたい人は、
無理せずに、


「読め!戸梶、読め!」




死者の代弁者〈上〉

死者の代弁者〈上〉


あの「エンダーのゲーム」の続きだっていうから、読んだのさ。
いきなり3000年後の世界かあ。


まあ、スティーブン・バクスターの世界なら、何億年も行ったりきたりだから、
それと比べりゃ可愛いもんだけど、なんか読み辛いなあ。
モルモン教徒独特の結婚観や摂理が前面に溢れていて、疲れるんだよな。
しかし、この人の本ではっきりしているのは、ラストに向けてカタルシス
演出されるはずで、下巻を読まないことには、すっきりしないんだよ、たぶん。


近くの本屋に下巻が置いてないから、続きは先延ばしに決定。




死ぬことと見つけたり(上) (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり(上) (新潮文庫)


ちくしょう、めちゃくちゃ面白い。
隆慶一郎って人は、つまらない本を書けないのだろうか?
不思議だ。


有名な書物「葉隠」のエピソードを、隆慶一郎の筆致で、軽やかに鮮やかに
佐賀鍋島藩の浪人「斎藤杢之助」が動き出す。
彼の「死人(しびと)」としての境地を思い描き、その活躍に心動かされない男はいまい。
と、決め付けてみる。
かっこいいのだよ、とても。



死ぬことと見つけたり(下) (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり(下) (新潮文庫)


で、続きを読んでいる最中。


杢之助とともに無二の親友たる中野求馬、牛島萬右衛門の
生き様に目頭が熱くなりっぱなし。
今日など、萬右衛門の可愛がっていた大猿が死んでしまったくだりで、
我慢できずに電車で泣いてしまった。通勤前だというのに・・・。


これが、作者死亡の為、未完であるとは信じたくない!