松本剛
ごくごくたまーにだけど、自分の感性が間違ってなかったなって自負する時がある。
言ってて、すごーく恥ずかしいのだけど。
高校生の時、リアルタイムで読んだ漫画の幾つかは、僕の気持ちを鷲づかみにしてしてくれた。
例えば、講談社の月刊誌、「アフタヌーン」だったら、
花輪和一『天水』、岩明均『寄生獣』、坂口尚『あっかんべェ一休』。
わざわざ出版社にハガキを出してまで感想を書いたほどだった。
そんな情熱は今はない。
(その一文が掲載されて、それぞれのイラストが入ったテレホンカードをもらった。どれも家宝だ)
で、松本剛。
当時、連載作品を読んで打ち震えた。
あまりに繊細ではかなすぎる若者たちが主人公なのだ。
「まるで、俺のことじゃん!」
と、読んだ誰もが思ったに違いない。
そのくらいに訴えてくる切なさは痛烈だ。
単行本の『すみれの花咲く頃』は、永らく絶版の憂き目に会っていたが、今回なんとドラマ化の運びとなり復刊。
(NHK総合4月より放送される)
ここに収録されている短編群はどれもが峻烈なのだが、なかでも素晴らしいのが
『教科書のタイムマシン』
この短編を読むだけでも十分価値がある。
一生モンに出会ったと感じたのは、嘘じゃない。
読めた僕は幸せだ。
まだ読んでいない君はもっと幸せ。
3/1に復刊らしいから、万人が手にすればと願うばかり。
ドラマ化するからたぶん多くの人の目に留まるだろう。
なんて素晴らしい!